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人材育成支援コースは定額制eラーニング対象外|理由と使えるコース

公開日:監修:Bizle読了目安:約9分
人材育成支援コースは定額制eラーニング対象外|理由と使えるコース

社員教育のために定額制のeラーニングサービス(複数講座が受け放題になるタイプ)を導入し、人材開発支援助成金の「人材育成支援コース」で助成を受けようとしたところ、「対象外」と言われて戸惑った、という方は少なくありません。実は人材育成支援コースでは、定額制サービスによる訓練は支給要領上はっきりと対象外とされています。本記事では、その根拠と、定額制サービスを使いたい場合にどのコースを検討すればよいかを整理します。

1人材育成支援コースとはどんな制度か

人材育成支援コースは、人材開発支援助成金に設けられている複数コースのうちの一つで、職務に必要な知識・技能を習得させるための職業訓練(OFF-JT)にかかる経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。人材開発支援助成金には、このほかに「事業展開等リスキリング支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース(定額制訓練など)」「建設労働者認定訓練コース」「建設労働者技能実習コース」があり、コースによって対象となる訓練の実施方法や要件が異なります。

自社がどのコースの対象になるかを考えるときは、「何のために訓練をするのか(事業展開・DX化・人材育成計画など)」と「どの実施方法で訓練をするのか(通学制・eラーニング・定額制サービスなど)」の両方を確認する必要があります。人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースは、この「実施方法」の扱いが大きく異なるコースの代表例です。

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「定額制サービス」とは、1つ1つの訓練にかかる経費が明確でなく、同じ料金で複数の講座を受講できるeラーニングや同時双方向型の通信訓練のことを指します。月額課金で受け放題になるタイプのeラーニングサービスは、多くの場合この「定額制サービス」に該当します。

2結論:人材育成支援コースでは定額制サービスは対象外

先に結論からお伝えすると、人材育成支援コース支給要領(令和8年8月3日版)の「対象とならない実施方法」には、定額制サービスによる訓練が明記されています。つまり、どれだけ職務に関連する講座であっても、受け放題型の定額制サービスという契約形態そのものが、人材育成支援コースの助成対象にならないということです。

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人材育成支援コースでは、定額制サービスによる訓練は職務関連性や訓練時間数の要件を満たしていても助成対象になりません。「どのコースでも定額制サービスが使える」という前提で導入や契約を進めると、支給申請の段階で対象外と判断されるおそれがあります。

3なぜ定額制サービスは対象外とされているのか

人材育成支援コースの支給要領そのものには「なぜ対象外なのか」という詳しい理由までは書かれていません。そのため以下は、制度の仕組みから考えられる背景の整理であり、公式な理由説明ではない点にご留意ください。

人材開発支援助成金の多くのコースは、もともと「1つの訓練コースにいくらの経費がかかったか」を基準に、その一部を助成するという設計になっています。これに対して定額制サービスは、月額の契約料金に対して複数の講座が含まれており、労働者がどの講座をどれだけ受講したかによって実際にかかった経費を1講座単位で切り分けることが難しい、という特徴があります。

事業展開等リスキリング支援コースでは、この定額制サービスの特性に合わせて、通常の訓練経費の助成とは別建てで「経費助成のみ(賃金助成なし)」「1人1月あたり2万円が上限」といった専用のルールを設けることで対象に組み込んでいます。一方、人材育成支援コースにはこうした定額制サービス専用のルールが用意されておらず、結果として「対象とならない実施方法」に位置づけられている、と理解すると整合的です。

つまり「定額制サービスの中身が悪いから対象外」というより、「人材育成支援コースの助成の仕組みが、定額制サービスという契約形態を想定した制度設計になっていない」ために対象外になっている、と捉えるのが実態に近いといえます。

4定額制サービスを使いたい場合に検討できるコース

人材育成支援コースで定額制サービスが使えないからといって、人材開発支援助成金そのものが使えないわけではありません。同じ助成金の中でも、定額制サービスを想定したコースが用意されています。

コース名定額制サービスの扱い助成の目安
人材育成支援コース対象外(支給要領の「対象とならない実施方法」に明記)-
事業展開等リスキリング支援コース対象(専用ルールあり)経費助成は中小企業75%・大企業60%、上限は1人1月あたり2万円。賃金助成はなし
人への投資促進コース(定額制訓練など)対象となるコースとして用意されている要件・助成率はコースごとに異なるため個別に確認が必要

事業展開等リスキリング支援コースを利用する場合は、単に「定額制サービスで講座を受けさせた」というだけでは不十分で、次のいずれかの目的に沿った訓練であることが条件になります。

  • 新たな事業展開(新製品・新サービスの提供、業種転換など)に伴い、新しい分野で必要になる専門知識・技能を習得させる訓練
  • 企業内のデジタル化・DX化、グリーン化・カーボンニュートラル化を進めるうえで必要な専門知識・技能を習得させる訓練
  • 企業内の人事・人材育成に関する計画に基づき、今後従事する予定の職務に必要な専門知識・技能を習得させる訓練(この目的の場合、定額制サービスは対象外になる点に注意)
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事業展開等リスキリング支援コースであっても、③の「人事・人材育成計画に基づく訓練」として申請する場合は、定額制サービスによる訓練は対象外です。定額制サービスで申請できるのは、①事業展開に関する訓練、または②DX・GX化に関する訓練のいずれかに当てはまる場合です。

5誤解しやすいポイント

Q1
職務に直結する講座なら人材育成支援コースでも使えるのでは?

いいえ。人材育成支援コースの対象外は「実施方法」の問題であり、講座の内容が職務に直結しているかどうかとは別の判断軸です。どれだけ職務関連性の高い講座であっても、契約形態が定額制サービスである限り、人材育成支援コースでは対象になりません。

Q2
定額制サービスなら事業展開等リスキリング支援コースで何回でも申請できますか?

事業展開等リスキリング支援コースでは、人への投資促進コースの定額制訓練などと合わせて、1人の労働者につき1年度あたり3回までという受講回数の制限があります。なお、令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく単発のeラーニング訓練には「1人1年度1回まで」という別の制限がありますが、これは定額制サービスには適用されないと案内されています。ただし個々の判断は社労士や労働局への確認をおすすめします。

Q3
今まで人材育成支援コースで定額制サービスを申請していたが大丈夫か?

既に申請・支給決定が済んでいる案件については、申請時点の支給要領に基づいて審査が行われています。今後新たに計画届を提出する分については、現在の支給要領で定額制サービスが対象外とされている点を踏まえて、コースの選び直しが必要になる場合があります。詳しくは管轄の労働局または顧問の社会保険労務士にご確認ください。

6自社に合うコースを選ぶときの確認手順

定額制サービスを使って社員教育の助成金を活用したい場合、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 導入を検討しているサービスが「1訓練ごとに経費が明確なeラーニング」なのか、「同額で複数講座が受け放題になる定額制サービス」なのかを確認する
  2. 定額制サービスであれば、人材育成支援コースではなく、事業展開等リスキリング支援コースまたは人への投資促進コース(定額制訓練など)の対象になるかを検討する
  3. 事業展開等リスキリング支援コースを検討する場合は、訓練の目的が「事業展開」「DX・GX化」のいずれかに当てはまるか、対象労働者の職務と講座内容が関連しているかを確認する
  4. 計画届の提出期限(契約期間の初日の1か月前まで)に間に合うよう、スケジュールを逆算する
  5. 最終的な対象可否は、管轄の労働局または社会保険労務士に個別に確認する
  • 定額制サービス=人材育成支援コースでは対象外、事業展開等リスキリング支援コース等では対象、という前提を社内で共有しておく
  • 定額制サービスを使う場合は「事業展開」または「DX・GX化」のどちらの目的で申請するかを先に決めておく
  • 人事・人材育成計画に基づく訓練(③)として申請したい場合は、定額制サービスではなく通学制・個別契約のeラーニングなど他の実施方法を検討する

人材開発支援助成金は、コースごとに対象となる実施方法・目的・助成率・上限額が細かく分かれており、同じ「eラーニング」という言葉でも、個別契約型か定額制サービス型かによって使えるコースが変わります。どのコースが自社の訓練計画に合っているかをコース横断で比較したい場合は、あわせて「人材開発支援助成金のコース比較|定額制eラーニングに使うならどっち?」もご参照ください。

7まとめ

人材育成支援コースは、支給要領の「対象とならない実施方法」に定額制サービスが明記されており、職務関連性の高い講座であっても定額制サービスという契約形態そのものが対象外になります。これは人材育成支援コースの制度設計が、定額制サービス向けの専用ルールを備えていないためと考えられます。定額制サービスで助成を活用したい場合は、専用ルールが用意されている事業展開等リスキリング支援コースや、人への投資促進コース(定額制訓練など)を検討することになります。いずれのコースも、受講回数の制限や訓練目的の要件が細かく定められているため、計画届を提出する前に労働局や社会保険労務士に個別の確認を取ることをおすすめします。

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本記事の情報は公開時点(2026年10月)のものです。

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